プロフィール

自分の写真
名古屋生まれの名古屋育ち。絵との付き合いは、油絵を始めた高校時代。仙台にいた頃は友人と木版画に熱中。社会人になって遠ざかったものの、退職を期に再スタート。水彩、油絵と、もと来た道を楽しみながら続けています。

2016-12-15

「ギャラ」は売れたら


< 陽だまり F6 2016.11 >

初雪が降った翌朝でした。公園を訪れる人は結構いてちょっと驚きました。来る人は寒くても来るんですね。カメラを持って野鳥を探している人や、陽の当たるテーブルでおしゃべりしている人たち。池にはカモとアオサギがいましたがじっとして動きません。体が温まるのを待っているのでしょうか。

坂道の下の陽だまりにベンチがあって、三人が肩を寄せ合って居心地よさそうに座っていました。今日のスケッチはこれだと決まったものの、黙って描いてはお互い気持ちが悪いと思い断っておくことにしました。「いいよ」、「ギャラは出るの?」と笑いながら一人。いちおう「売れたらね」と答えました。「長くかかる?」。「まだ30分は居るな」。

急いでスケッチを始めたのですが日足は早くて、間もなくベンチは陰に入ってしまいました。それでも、こちらの様子を遠目に確かめながら30分以上は座っていてくれました。三人のみなさん、ありがとう。
  

2016-12-01

古民家のある公園

< 古民家園 F6 2016.10>

町田の少し北、鎌倉街道沿いにある薬師池公園で描いてきました。スケッチや写真撮影は、公園の中心にある薬師池を跨ぐ「たいこ橋」辺りが定番のようですが、気持ちが動かなかったのでしばらく園内をぶらぶら歩いてみることにしました。

10月の半ばでしたが紅葉にはやや早く、かといって花の時期はとうに過ぎていて、ちょっと中途半端な佇まいでした。やっと決まったのは、園内にある2軒の古民家のうち旧荻野家の住宅。かつて市内にあった医院を兼ねた医者の家で、1974年に公園内に移築されたのだそうです。

1970年代と聞くとすぐこの前のような感覚がします。日々の記憶が鮮明で、活き活きと残っているからだと思いますが、それからもう40年も経っているわけです。そのぶん残りの時間が少なくなったと云えますが、終わりの時への準備のために現在の時間は使いたくない気持ちです。
  

2016-11-01

コスモスの咲くころ

< コスモスの咲くころ P10 >

近くに住む外国人の若夫婦に、今月はじめての赤ちゃんが誕生です。わたしが住んでいる団地は、近頃、老齢化が進んでいることもあって一際明るいニュースです。これから長く生きていく赤ちゃんにとって世界が平和であることを願いたくなります。「花を描いて欲しい」というお母さんの気持ちもきっと同じでしょう。

先日、富士山の初冠雪が発表になりました。神奈川県の中央部からも白くなった頂きがよく見えました。この初冠雪は時候の言葉なのでしょうか、カレンダーの季節よりしっくり来ます。さて、これからはコスモスに代わって紅葉が目を楽しませてくれるようになるのでしょう。
 
  

2016-10-01

安曇野の名残り


< 初夏の安曇野 F50 >

安曇野シリーズは3作で終りにしたのですが、今回のは4作目。わたしの町の秋の展覧会に出したものです。穂高市御法田からのスケッチ(2016-06-20)を描きなおしたものです。なぜ他のではなくこの絵にしたの?と訊かれます。大きい50号(約117cm x 91cm)にしやすかったからですが、一番の理由は、元の10号のスケッチに「こうすればよたかった」というところが何ヶ所かあったからで、大きくするときにいっしょに直そうとしたわけです。では、これは会心の作になったか? なかなか、、どこまでも新しい悩みが出てくるものです。

市展を主催している生涯学習課から議長賞に選ばれたと連絡がありました。5月に出かけた安曇野を題材に4点ほど描いたことになりますが、最後に良い締めくくりになるニュースが聞けました。
  
< 初夏の安曇野 P10 2017.2 >

同じテーマでもう一枚、構図を少し変えて描きました。気に入ってもらったAさんの玄関に飾ってもらっています。
  

待ち遠しい秋


< 雨上がりの公園 F6 2016-9 >

ちょくちょくやって来た台風のせいもあって8月後半から9月いっぱい、雨がよく降りました。カンカン照りの暑さで屋外のスケッチは辛いですが、長雨は最悪です。撤退する以外、対策の立てようがないですから。

今月の一枚は近隣の公園でのスケッチです。はじめパラパラしてた雨も直ぐ上がって、2時間ぐらいしたら日が差してきました。薄暗かった公園がパット明るくなったのにつられ、絵の調子もあかるくなった気がします。陽があると気分が変わるみたいです。

いよいよ10月、落ち葉がカサコソと音を立てる、乾いた空気に入れ替わってもらいたいものです。
   

2016-09-01

横浜・山手の一角



< 霧笛橋(横浜・山手) F6 >

小学3年か4年の子どもたちが元気に遊んでいました。ときどき私の後ろに回って絵を覗きこんだりしていました。「今日は遠足?」。「ピクニック、うん遠足ともいいます」。近くにアメリカンスクールがあるのでそこの子どもたちだと分かりました。先生がみんなを集め何か話していると思ったら、ハッピーバースデーの歌が聞こえてきました。しばらくして引き上げていくと、広場が急に静かになりました。

ここは霧笛橋の下です。大佛次郎記念館と神奈川近代文学館をつなぐ、ちょっと贅沢な連絡橋です。港の見える丘公園のすぐ南にありますが閑静な場所です。港までは距離があるのでここで霧笛を鳴らしたとは思えません。確かめてはいませんが、大佛次郎の明治の横浜を舞台にした小説「霧笛」から取ったのでしょう。そういえば向こうに見える記念館の喫茶室もたしか「霧笛」でしたか。
  

2016-08-01

たまには立ち止まって


< 梅雨のころ(厚木・荻野川) F6 >

東海地方まで早々と梅雨明けでした。どうして関東はまだかちょっと不思議でしたが、そのあと冷たい北東の風が入り込み、7月下旬だというのに梅雨冷えのようになり納得しました。7月が終わりに近づいてやっと関東地方も梅雨明け。しばらくは水分補給に気をつけ暑さと格闘です(たぶん)。

こんどの一枚は厚木市の北を流れる荻野川沿い(相模川の支流)の田園風景です。梅雨の真っ最中のころで、大山から続く峰は雲に覆われていました。正面に”横浜牛”(このとき初めて聞きました)を生産していた牛舎。両側の土手は近くに住む人たちの朝の散歩コースになっていて、けっこう人通りがありました。「いつも見てるけど絵にするとキレイだね」と声をかけてくれました。たまに立ち止まって眺めると なにか見えるのかも。
 

2016-07-10

安曇野、白馬をまわって (3)

< 安曇野展望(池田町・望美術館前) F10 >

このシリーズ3作目、といってもこれで終わりですが、展望美術館(正式には池田町立北アルプス展望美術館)のすぐ前から眺めた安曇野と有明山、さらにその先の北アルブスです。6月10日「初夏の安曇野」に載せたスケッチを油絵にしました。明るい午後の陽が田植えの終わった田圃に映って眩かったです。

こんど来るまで、安曇野は田圃や林が殆どで、緑のなかに農家が点在するイメージを抱いていましたが、おもった以上に建物が多くて驚きました。事業を行う工場や事務所などもあって、ここも変貌途中にあるのだと印象を強くしました。

スケッチポイントを探す折に、平地からやや上がった所にある集落に迷い込んだりしました。細くてくねくねした道を通りぬけながら、山からの水が集まる平地ではなく、やや高いところを選んで住んだ昔の人達の知恵に感心したりしました。
  

2016-07-01

安曇野、白馬をまわって (2)

< 田植えの頃(白馬村青鬼) F10 >

青鬼(あおに)集落の入り口にある駐車場から一本道を少し登るとサイダーの幟と「冷えています」の張り紙が目に止まりました。安曇野から1時間半ほどドライブして来たのですでに9時半近く。喉を潤したくなり納屋を覗き込むと横から元気そうな翁が出てきました。話がしたくなりましたが時間がないので帰りに寄ってみよう。

苗代を運ぶ軽トラや棚田の石垣を補修する作業が見えました。さらに少し登ったところが今日のスケッチポイント。水が入った棚田の向こうに五龍岳の残雪、谷間には白馬の市街地らしいものが望めました。モヤが出て2時には殆ど山が見えなくなってしまいました。昼飯の時間を惜しんで描き続けてよかった。片付ける前に絵を確かめたら意外な発見でした。2枚の田圃にいつの間にか苗が植え終わっていました。これもスケッチに加えておきたいな。
  

2016-06-20

安曇野、白馬をまわって (1)

< 安曇野・麦秋 P10 >

安曇野の定番は雪をいただく峰々に田園風景。まさに今日の一枚にあるような風景です。初めて来た土地で初めてキャンバスに向かったとあって、新鮮ですごく集中できました。陽が傾き始めた3時までアッという間でした。

朝一番、外からでしたが大王わさび農場に寄りました。水量の多い何本もの清流がこの辺りで集まり北流し、最後は信濃川になるようです。そのあと今日のスケッチポイントを探したのですが、結局はじめにいいなと思った、御法田(ごほうでん)近くの橋の袂に決めました。陽に映えた白い蔵、一部刈り取りが始まった麦畑、青い山の向こうの残雪と、欲張ってあれもこれも入れることなりました。
  

2016-06-10

初夏の安曇野

< 安曇野平(池田町・展望美術館から) 水彩 >

梅雨に入る前の5月、安曇野から白馬を周ることができました。池田町にある北アルプス展望美術館に到着したのが午後2時過ぎ。西に続く山々は既に陰り始めていましたが、それだけに安曇野は眩いほど明るく輝いて見えました。征矢野 久展を見るつもりが、風景の美しさに魅せられてスケッチに切替えです。中途半端になりそうだったので油絵はやめて水彩です。今日から3日間、この風景の中に滞在するのかと思うと気持ちが高ぶってきました。(ほかに安曇野や白馬で描いた絵2点を載せる予定です)
  

2016-06-01

土の匂い

< 土の匂い・秦野東田原 P10 >

久しぶりの土の匂いでした。4月の下旬、大山の裾が南西に下って平になる辺りにある集落に行きました。車から出た途端、明るい日差しと土の匂いに包まれました。畑は耕され植え付け間近のようです。「風薫る」は、ゴールデンウィーク頃の新緑や花の匂いが風にのって吹いてくる感じですが、半月ほど早いと「土の匂い」がするのかと気付きました。

生憎、午後からモヤってきて、描き始めたころ見えていた丘が隠れてしまったので早めに切り上げ片付けました。近くの家庭菜園から農作業を終わって出てきた人たちとお喋り。「今日は写生大会でもあったのですか」、、「海老名では土の匂いはしませんかね」、、
半日しか描いていないのに、目の前に広がる田園風景を眺めていると、ずっと長い時間いたような気がしました。
 

2016-05-01

熊本地震で思うこと


< 桜のころ・愛川町中津川 F6 >

熊本の地震がなかなか収まらないのが気になります。ニュースを見ていて幾つかのことを考えました。5年前の東北地方太平洋沖地震(正式名称はこうだそうです)。私が住んでいる辺りは震度5弱(=4.7)でした。震度7とは一体どんな揺れだったのでしょうか。もう一つはドローン。迷惑モノのように報道されてきたのが今度は大活躍。身軽なフットワークで上空から災害現場を撮ってくれ、救出や調査に役立っているはずです。
 
地震大国の日本。分かっている活断層だけでも2,000以上あるそうでが、それが仮に数百年周期で動いたとしても、相当な数の災害が起る勘定です。穏やかに見える所でも いつ起るか分かりません。出来ることは日頃からの防災意識と備えだと教えてくれる熊本地震でした。

4月上旬、相模川の支流、中津川の河川敷にあるキャンプ場で描きました。前日は春の嵐でしたが、この辺りの桜は持ちこたえたようです。水量が多くて濁った川の流れが、桜や山の芽吹きの色合いと好対照でした。
  

2016-04-02

春の日差し



< 牧場の春 油彩 P10  >

東京の桜が満開だと聞いたとおり、昨日皇居近くを車で通ったら綺麗に咲いていました。

一週間前に出かけた牧場の桜はもう咲き始めたでしょうか。神奈川県の水瓶、宮ヶ瀬湖近くの牧場です。10度に届かない寒い日のわりに日差しが明るくて、牧草を食む家畜はのんびりと尾っぽを振っていました。昼ごろには日が陰って辺りの雰囲気がガラッと変化。でも、絵の調子が決まったし、風邪を引く前に退散しました。

今日、4月4日から御茶ノ水のSweetJAMで3回目の二人展。昨年描いた作品を中心に6点展示します。そんなわけでしばらく行ったり来たり、時間が取れなくなるので昨夜は筆を進め、ほぼ仕上がりまで持って行きました。
  

2016-03-01

梅の香り

< 梅畑 F10 >

近所にある小さな梅畑です。10本ほどあってちょうど満開でした。花がない2月の中頃とあってよく目立ちます。

梅の木に囲まれて描いていたら 透き通るような微かな香りがしました。これが梅の香り? 鼻の感度には自信がないけれど、そうだと信じることにしました。 塊として白梅をじっと見ていて気がつきました。色はハナミズキのようなベタ白じゃなくて、かといって色といえる色でもない。わずかばかり薄橙が滲み出しているみたいです。

赤い帽子を被った近くの保育園の園児が列をなして入ってきました。「こんにちは」、「なにしてるの」、いっとき賑やかになりました。いろんな色が一面に溢れだしたみたい。
 

2016-02-01

H君の肖像画



< H君の肖像 F4 >

古希になったH君から肖像画を描いて欲しいといわれ、正月明けにという約束をしていました。今更どうして肖像画なのかとも訊けないのですが、その年令にもなると何か生きた証拠が欲しくなるのでしょうか。勝手にそう推し量りながら、モデルになったH君を小さめのキャンバスに写しました。

自分の顔を鏡に映すのは日に一二度ありますが、ヒゲを剃るとか、髪の毛を梳くとか、顔を眺めること以外の目的があってのことです。いつも意識しないので、何か異常がない限り注意を向けません。そんなふうにして長い間生きてきたのですから、立ち止まって、ちょっとの時間自分の顔を眺めると、何か新たな発見があるかもしれない。それに、知っている人が鏡代わりになって描く顔となると、写真とは違った趣があるでしょう。節目の肖像画を描きながら考えてみました。
 

2016-01-02

健康志向の人たち


<晩秋の散歩道 F10>

明けましておめでとうございます。今年もお付き合いをよろしくお願いします。

ここ5,6年、よく出かける所の近くに県立公園があります。知っていましたが前を通るだけでした。先月、スケッチのため園内に入りました。クヌギ、コナラ、シラカシの大木の林がありました。木道脇でリュウノヒゲの青紫色の実を見つけました。これが相模野の原風景なのかもしれません。40年ほど住んでいますが、身近で見かける機会は少なくなりました。

遊歩道の片隅が今日の場所。描いていると(同年代の)散歩中の人たちが時々声を掛けてくれました。こちらの質問にも答えてもらって、全周していないのに園内の大体の様子が分かりました。一周すると40分かかる。資料館は坂を下りた先にある(トイレの場所が分かるので大切です)。雨でなければ毎日歩いている、とか。どの人たちの声も明るくて弾むような響きがありました。