プロフィール

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名古屋生まれの名古屋育ち。絵との付き合いは、油絵を始めた高校時代。仙台にいた頃は友人と木版画に熱中。社会人になって遠ざかったものの、退職を期に再スタート。水彩、油絵と、もと来た道を楽しみながら続けています。

2011-05-31

久しぶりの会津

鹿沼の市街で小休止したあと喜多方に向かった。白河に近づくと所々で道路補修をやっていた。3月以降の地震で路面が波打ったようになってしまったためのようだ。とくに橋梁部と土盛り部分との境目に段差ができしまい、前輪が通過するとガクンと衝撃が伝わってくる。震源に近い浜通りや仙台の方ではもっとひどいのだろうか。僅かだが今度の地震の傷跡を実際に目にすることになった。郡山から一般道に下りて喜多方に向かったが、幸いにも道路には目に見えた痕跡はなかった。

サイクリングロードとして整備されている押切川の土手を散歩するのは気持ちが良い。川原の茂みから吹き上がってくる風には新緑の匂いが含まれていた。自然に根付いたのだろうか、ニセアカシアが白い花をつけていて、甘い香りを放っていた。お目当ての飯豊(いいで)のたおやかな峰は、雲の向こうに隠れ見えなかった。反対側の雄国(おぐに)の峰は、頂上付近が少し雲に覆われていたものの、緩やかな山裾が終わった辺りには、田植えが済んだ水田が雲の隙間から落ちるわずかな陽光を受けて広がっていた。2年間も来ていなかった気がしない。



2011-05-18

観光地、マーガレットリバー

イースターの5連休にパースから3時間ほど南にあるリゾート、町の名前でもあり地域の名前にもなっているマーガレット・リバーに出かけた。観光地といっても日本のそれとは全く違っていた。対面通行のハイウェーから一般道に出ると、人どころか車ともすれ違わない。道路の両側に見えるのは赤っぽい大地に広がるユーカリの林とブッシュ、それにかろうじて人の営みを感じさせる牧場や農場。どことなく西部劇の雰囲気に近い。ランチを予定していたレストランに向かうのだが、こういうワイルドな景色の中を走っていると期待はだんだんと萎んでしまう。どんな店なのだろうか。

広告板も案内標識もないので入り口に近づくまで気づかない。実に幸運に目に入った門を通り抜けて少し走ると木立に囲まれた駐車場があった。間違いなさそうだ。少し色づいたブドウ畑がなだらかな斜面に続いている。途中で見た乾いた赤い土地とは対照的だ。テイスティングしたワインの味は私には少し強かったが、ランチの、煮込んだラムのスネ肉はクセがなく美味しかった。こちらの名物料理だと後になって教えてもらった。帰り際、レストラン脇からの眺めが公園のようで、これがこの辺りの観光地なんだろうと分かったようなつもりになった。



2011-05-03

動体視力

大地震のあといつまでも続く余震に腹立たしい気持ちになるのだが、こればっかりは耐えるしかない。こんなストレスも作用したと思うのだが、休みが取れるという娘を訪ねパース(オーストラリア西海岸)へ行くことにした。時差1時間といえども季節は秋になっているはずだ。

街路樹のプラタナスは少し色づいて来たそうだが、30℃を超える日中の気温からは秋は微塵も感じられない。街のスカイラインの手前にはスワン川が澄んだ青空を映している。涼しくなった夕方、部屋から見えるゴルフ場に練習をしに出かけてみた。数人がゴルフクラブを振っていて、伸びてきたユーカリの影が落ちる芝生に向かって白いボールを飛ばしていた。右側の池から黒ずんだ色のアヒルの群れが一列になって出てきたかと思うと、7、80メートル先で、夕飯なのだろうか、しきりに何かを啄ばみ始めた。飛んでくるボールには一向に目もくれない。殆どのボールは彼らの上を飛び越えていくのだが、たまに際どい球もある。それでもマイペースで餌を取り続けている姿は、ゴルファーを馬鹿にしているようにも見えるのだが、彼らにそんな暇はないはずだ。。 たぶん、彼らの視力では、飛んでくるボールがしっかりと見えるのだろう。当たりそうになればサッと身体をかわす反射神経を持っているのだろう、と考えることにして、休めていたボール打ちをまた始めることにした。