プロフィール

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名古屋生まれの名古屋育ち。絵との付き合いは、油絵を始めた高校時代。仙台にいた頃は友人と木版画に熱中。社会人になって遠ざかったものの、退職を期に再スタート。水彩、油絵と、もと来た道を楽しみながら続けています。

2007-05-09

山笑う


毎年この季節、会津を訪れている。ゴールデンウィークの混雑を避け、少し早めに出かけていたが今年はそれが出来ず、いつもより1週間ほど遅い会津入りに なった。暖冬で少雪だったせいもあるが、すでに里山は一面 萌黄の柔らかい色に包まれていた。

山菜採りに出た途中、目に入った柳津のお寺のスケッチがしたくなった。これまで何度も前を通って見ているのに初めてそんな気持ちになった。ひょっとして芽 吹きの淡い緑とお寺のくすんだ色のコントラストがそうさせたのかもしれない。子供の日、前を走る国道は他県ナンバーの車で溢れていた。車を止め、川を挟ん でお寺が見渡せる公園の丘に上がってみた。ガランとした公園は樹木が多く気持ちがいい。お寺のつき出した「舞台」の上に参詣者の白い姿が見え隠れする。眼 下から豊穣な水を流す只見川の深い緑と吹き渡る風が残す風紋、お寺を囲む暗い杉木立の背後からは、雲海のように広がる淡緑のグラデーションが迫ってきた。

スケッチに疲れボンヤリしていると、SLを模った小さな遊覧舟が歌謡曲を鳴らしながら過ぎていった。その後には静けさと跳ねるような陽光の眩しさが残って いた。