エジプトに来て3日目、今日(12月15日)はアスワンに入った。カイロの砂埃と喧騒から開放されると、肩の力まで取れて軽やかになった心地がする。遺跡めぐりの合間、すなわち移動の時間は束の間の旅心が味わえてうれしい。アギルキア島のイシス神殿へ行く船着場から対岸に見えた村の光景は美しいと思った。抜けるような青空と目が覚めるようなナイルの水。その中間に、この地方の砂漠の砂のような色をした家々が、午後の日差しを受けて輝いていた。風に吹かれ眺めていると、時間が止まっているような錯覚を覚えた。ボートが向きを変え、西日が湖面に反射して顔を照らした。