プロフィール

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名古屋生まれの名古屋育ち。絵との付き合いは、油絵を始めた高校時代。仙台にいた頃は友人と木版画に熱中。社会人になって遠ざかったものの、退職を期に再スタート。水彩、油絵と、もと来た道を楽しみながら続けています。

2017-12-01

リンデンホーフの坂道


< リンデンホーフの坂道(チューリッヒ) F10 2017.8 > 

チューリッヒを訪れたときのスケッチです。待合せまで時間があったので、ローマ時代に砦があったという、街の中心にあるリンデンホーフの丘に行きました。低い丘ですがリマト川越えに街が一望できる所です。

夏だというのに気温13℃と寒い日でした。公園に着いて間もなく雨は上がりましたが、それでも東の空には重たそうな雲が残っていて夕方のようでした。それに風が冷たい。早々に切り上げ、坂を下った先にあるフラウ・ミュンスター(聖母教会)に入って一休み。シャガール作のステンドグラスを見ながら暖が取れました。
  

2017-11-01

もうすこし秋晴れを


< 秋の草花 F6 2016.10 >

2週続けての台風にはうんざりでした。台風といえば字のごとく強風のはずですが、私が住んでいる辺りは大した風は吹かず、参ったのは連日の雨でした。八つ当たりするわけではないですが、週間天気予報はけっこう外れることが分かりました。高価なスーパーコンピュータといえど1週間先の予測は難しいみたいです。

台風が去ったと思ったら今度は北から雪の便りが聞こえてきました。こんなに目まぐるしく季節が進むと、以前 描いた「秋の草花」の出番が無くなってしまう。そんな気持ちから今回の絵を選びました。
  

2017-10-01

山あいの湖水

< 湖水(スイス・アローザ) 油彩 P15 2017.8 >

  8月の半ばというのにここの水は凍えるような冷たさで、くるぶしをちょっと浸けただけで泳ぐのは迷わず断念しました。せっかく着用してきた水着の出番はありませんでしたが、代わりに継ぎ足したメモ用紙にスケッチする時間が出来ました。
  そびえ立った岩山に囲まれた標高2,000mほどにある小さな湖水です。バス停から緩やかな小径を30分ほど登ったところにありました。スイスでは湖や川で泳いでいる人をよく見かけましたが、さすがここでは肩まで浸かって泳いでいるのは一人だけでした。
  どこから下って来るのか、ときどき対岸をMTBが疾走していきました。それを追っかけるように、ちぎれ雲の影が過ぎていったり、風が湖面を光らせていきました。無声映画のようにとても静かでした。
  

2017-09-01

夏の終わり

< 夏の終わり(海老名市・大谷南 F10 2016.8 >

風の道というそうですが稲田を風が吹き抜ける風情は好きです。家からそう遠くないところにも稲田があって観察するのに好都合です。2年前にも「夏の記憶」というのを描いたことがあります。引っ張り出してみると、稲が鋼のように硬そうで、これだったら煩いくらいの音がするんだろうなと、苦笑でした。風を追いかけるように走しっていく風紋や、なびく稲穂の腰の柔らかさが欲しくなりました。  
  

2017-08-01

ヒナゲシは雑草?

< ヒナゲシと麦畑 F10 2017.7 >

花の時期はとっくに終わって、いまは枯れた茎に芥子坊主が残っていると思いますが、道端に雑草化したヒナゲシをよく見かけるようになりました。ナガミヒナゲシというらしいです。原産地は地中海沿岸なので外来種ということになりますか。花は綺麗だし、さほど困った問題を起こしていないのか、駆除騒動は聞きません。

もうだいぶ前になりますが、初夏、スイスのバーゼル郊外に滞在したことがありました。スイスというと夏でも雪がのこるアルプスのイメージがありますが、バーゼル辺りは平で、せいぜいなだらかな丘陵が周りに見えるだけです。麦畑がどこでも見られ、実りの時期になっていました。目を惹いたのは、その麦畑の中にいっぱいヒナゲシが咲いていたことです。濃いオレンジ色が麦畑から浮き立つ光景は力強く壮観でした。さて、ナガミヒナゲシは日本ではどんな風景を作ってくれるのでしょうか。
  

2017-07-01

夏は来ぬ


< 相模夕富士 SM 2017.12 >

梅雨の合間の夕焼けになりました。この頃の日没は7時ぐらいですが、わたしの住む辺りでは、その時刻には西の丹沢山系の背後に沈んでしまいます。お陰で眩しくなく眺められます。雲に映える夕焼けは綺麗だなあとしばし見惚れていました。次の朝、小1時間かけて昨日の光景をスケッチしました。

午後出た集まりで、仲間の一人が庭で実った枇杷を持ってきてくれました。ちょうど夏至の日で、初夏を味わうことが出来ました。昨日の夕焼けも思い出し、夏の始まりを実感しました。

追:しばらく放ったらかしていましたが、手元にあったSM(22.7cm x 15.8cm)サイズの小キャンバスに描き直しました。
   

2017-06-01

釣り人の楽園



< 小さな入江 (相模川・磯部) F6 2016.7 >

厚木から8Kmほど上流の相模川の河原に行きました。毎年ゴールデンウィークの頃、相模大凧の一つが揚げられる広場に車を止め、スケッチポイントを探しているうちにたどり着いたのが今日の「小さな入江」です。自然にできたのかどうかは分かりませんが、少し大きめな釣り堀という感じです。リタイア組らしき何人かが 釣りやら将棋台を挟んで気ままに愉しんでいるふうでした。

両岸から糸が何本か張ってあったので何かなと訊いてみるとカワウ対策だそうです。釣り人にとってカワウは強敵だ。「いまは来ないけどね」。鮎を狙って別な場所へ出張してるみたいでした。堤の上の遊歩道で描いている3、4時間眺めていたわけですが、釣り人たちは静かに淡々と時間を過ごしているふうで、梅雨の合間の実に平和な光景でした。
 

2017-05-01

チャンスはそう長くない

< うずしお 水彩紙・アクリル 20x30cm 2017.4.12 >

車で日本各地を周ってみたいという気持ちは前からあったのに、なかなか行動できませんでした。いつでも行ける、そんな気持ちがあったのは確かです。だが待てよ、長時間 運転する体力を考えると残された時間はあまり長くないぞ。思い立ったが吉日、4月のはじめにまず山陽、四国を5日間で周りました。

どうしてかよく分からないのですが、計画の時から鳴門にはぜひ寄って“うずしお“を見たいと思っていました。潮見表を見ながら行程を調整した甲斐と、当日の天候に恵まれる運もあって、実物の”うずしお”を間近に見ることが出来ました。それが今日のスケッチになりました。

ゆっくり起る潮の満ち干きは、砂浜や岩場についた潮の痕から想像するしかありません。それが1メートル以上もある落差をつくって、川のように流れているのを見ると、自然のスケールの大きさに驚くとともに、畏怖の気持ちが湧き上がってきました。

先月あった金箔教室では屏風の(表裏に畳める)紙蝶番も学習。そのとき作った二曲のミニ屏風に描き直し、金箔をあしらいました。

< うずしお 木質ボード・アクリル+金箔 20x30cm 2017.4.23 >
  

2017-04-01

はじめての金箔

< 木彫り猩々(アクリルガッシュ+金箔) F4 2017.5.23 >

この春 美術学校を卒業したY さんが金箔教室を開いてくれるというので仲間が集まりました。めいめい持ち込んだ作品に金箔を貼るプロジェクトです。一通り手順をきいたあと実習開始。それで出来上がったのが今度の一枚、木彫りの猩々(しょうじょう)※です。

「猩々」は中国の物語に出てくる仮想の動物のこと。その物語を演目とした能があります。あらすじ:酒を商う親孝行な高風のところに、毎日やって来る客の中に、飲んでも少しも顔色や様子が変わらない客がいました。興味を持った高風は、ある晩に住んでいる川辺に行き様子を見ていました。水中から現れた猩々はたいそう喜んで迎え、酒を酌み交わして舞をはじめました。そして素直な高風を褒め、酌めども尽きない酒の壺をお礼に残します。高風がその壺で商売を始めるとたいそう繁盛したそうです。

三吉箔糊を画面に塗りしばらくおいて乾いたら金箔を置くように貼るのですが、思い通りにくっついてくれません。ついつい力ずくになってしまいました。それに絵の中に金箔をどう使うかも難しい。

プロジェクトの締めくくりはいつものように宴会で、よく食べよく飲みました。十分いい気分になったのはもちろんですが、猩々のように顔色が変わらないという具合にはいきませんでした。もしかすると猩々はもともと赤ら顔だったのでは?
  

2017-03-01

人物画のディレンマ



< 母子 F10 2017.1.20 >

昨年11月、「コスモスの咲くころ」でお話しした若夫婦に女子が誕生、健やかに育っています。まだ1か月半でしたが快くモデルを引き受けてくれました。できるだけ自然にしてもらいました。外国人だからなのか、若い母親の自信なのか分かりませんが、幸い恥ずかしがる風はありませんでした。描きたかったのは絵の題名のように母と子の絆のようなものです。どんなポーズでも滲みでているわけですが、これがいいと思いました。

さて人物を絵にするとき困るのは、似た顔にならなければいけないかどうか。まだ個性が出きらない赤ちゃんは別として、お母さんは似ているほうがいいですよね。でも、似せようと顔ばかりに注意を集中させたくはありません。技量の足らないのを誤魔化すことになるかもしれませんが、描き終わって似ていればそれもよし、そんな程度に考えることにしました。

追:秋の市展には30号に描き替えたのを出しました。
  

2017-02-01

一年ぶりの肖像


< H君 F4 2017-1>

一年ぶりにH君の肖像です。今度は少し怒ったような表情でした。聞くところによると去年葉山の県近代美術館で見た原田直次郎の絵、「靴屋の親爺」のポーズが気に入ったとのことでした。たしかにあの親爺も厳しい表情で前を見つめています。

東京電力がやっと福島第一原発2号機の原子炉直下に核燃料が融けたとみられるデブリの映像を公開しました。予想されてはいましたが、事故から6年間、なるがままの状態になっている「核燃料デブリ」の一部を目にできたわけで、改めてそら恐ろしい光景を見る気がします。事故直後からこれまでの間に、私達の危機意識が薄らいでいるとしたら もっと恐いことかもしれません。2月にはロボットを入れて調査するようなので注視したいと思います。
  

2017-01-01

不思議な取り合わせ

< 貝殻とランタン F6 2016-11 >

新年おめでとうございます。

「つれづれスケッチ」を覗いていただきありがとうございます。今年も描き上がった絵を載せていくつもりですのでよろしくお願いします。

今回の絵は貝殻をスケッチしていてたどり着いた一枚です。貝殻だけの予定が描いていくうちに小物が増えてしまいました。貝の骸だからでしょうか、貝殻だけでは余りに静か過ぎて気が滅入りそうでした。手元にあった小物を追加したら、少し語り始めてくれるようになりました。

一体どこにいたんだろう。砂浜に寄せる波の音が聞こえる、明るい海底だったのか。それとも静かな岩の影? だいぶ昔に誰かに獲られ、きれいな骸になってしまった。いろんな所をめぐり渡って、時の流れを見てきたのか。いまは私のモチーフになって、過ぎた昔を想ってみる。嬉しいとも悲しいとも言わないで。