プロフィール

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名古屋生まれの名古屋育ち。絵との付き合いは、油絵を始めた高校時代。仙台にいた頃は友人と木版画に熱中。社会人になって遠ざかったものの、退職を期に再スタート。水彩、油絵と、もと来た道を楽しみながら続けています。

2006-03-26

マイペース プラス

学生のころ読んだ小説に、主人公の学生が海辺に住んでいる先生を訪ねた時の話がありました。昼過ぎだっか、その先生はチョッと待つように言うと、縁側からスタスタ庭を横切って浜辺まで下りていき、着ていた浴衣を脱ぐと沖に向けてまっすぐ泳ぎ始めた。姿が消えかかるほど沖まで行くと、くるっと向きを変え、今度はまっすぐ浜辺を目指して戻ってくる というものでした。その光景が印象的で面白かったので、同じように泳いでみようとしたことがあります。沖に数百メートル泳いだでしょうか 振り向くと浜辺の人たちは小さくなって 頭も体も区別できないくらいになっていた。そろそろ引き返そうかと立ち泳ぎの姿勢になったとたん、体中が氷水につかったように冷たい。突然なことで 息がとまりそうになりました。一瞬ですがパニック状態になったんだと思います。夏の青い空、明るい太陽、遠くの砂浜の人影、しかし周は、時間が止まったような静寂の世界でした。 元の泳ぎの姿勢に戻り、普通に呼吸できるまで ほんの数秒だったかもしれませんが、長く感じた一瞬でした。
 

それから長い間 泳ぐことから遠ざかっていましたが、2年前から運動不足解消のため泳ぎ始めました。もちろんプールでです。週一回のクラスでした。自分の体力や技量を棚に上げ、会費を払ってどうしてこんな苦しい思いをするのだろう、と思ったこともありましたが なんとか1年半続きました。今年からはクラスをやめ 自由に泳いでいます。自由にといっても 目標がないとすぐに止めてしまいそうなので 昔読んだ小説の「先生」を思い出し 遠泳を始めています。しかし 25メートルプールでは泳いだ距離を測るのは大変です。ターンの回数を数えるにしても20回、30回になるといい加減になってしまいます。そこで始めた簡便法は 連続して泳いだ時間を50メートル泳いだ時の時間で割って算出する方法です。「今日は75分間、3Km泳いできた」などと自慢げに話しています。もう一つ問題がありました。わたしが泳ぐ時間には、同じレーンで他に二人のスイマーも泳いでいます。クロールのみ、クロールと平泳ぎを交互、平泳ぎのみ、 と泳ぐ種目が違うのと、年齢(体力かな?)が違うので、どうしても追いついたり 追いつかれたりしてします。幅の狭いレーンでは追越はできません、と言うか 追い越されるほうは不愉快だし(心のストレス)、追い越すほうも体力を消耗します(肉体のストレス)。そこで誰ともなく始めたのは、前に出たいときは、前のスイマーが壁でターンをする前に レーンの途中でUターンすることです。これなら快適です。小説の「先生」は海でマイペースに泳ぎましたが、わたし(と他の二人のスイマー)はプールで"マイペース プラス"で泳いでいます。