プロフィール

自分の写真
名古屋生まれの名古屋育ち。絵との付き合いは、油絵を始めた高校時代。仙台にいた頃は友人と木版画に熱中。社会人になって遠ざかったものの、退職を期に再スタート。水彩、油絵と、もと来た道を楽しみながら続けています。

2013-12-15

“象の鼻”岬から

  油絵 M10 <絵をクリックで拡大>

  横浜港周辺の新旧が見渡せる”象の鼻”の防波堤(勝手に名前を付ければ”象の鼻”岬でしょうか)からの眺めは好きです。開港の昔には、沖待ちする船との間を行き来する荷船を波から守ったようですが、いまでは 後から造られた埠頭に取り囲まれているため、防波堤としてよりは史跡として残っているだけのようです。その先端からは、入り江の先に市街地の建物がよく見えます。午後、市街地に日が傾き始めると、それまで平面的だったビル群の陰影がしだいに濃くなって、浮かび上がるように見えます。なんど見ても見飽きません。横浜のシンボルと言われる3つの塔、キング、クイーン、ジャックの塔のうち、2つ見えるのも横浜の風景らしいかなと思います。見えるのは、神奈川県庁のキングの塔と横浜税関のクイーンの塔の建物です。ジャックの塔の開港記念会館は建物の陰になっています。
 

2013-11-20

喜多方の裏路


 油絵 F6 <絵をクリックで拡大>
 
  喜多方には親類を訪ねときどき出かけています。周囲の人達には、行き先を会津といったり喜多方と言ったりしますが、正確には喜多方です。なにせ会津は神奈川県の2倍以上の広さがある地域ですから。今年はヒメサユリ(睡蓮の花のような淡いピンク色に咲くユリ)が咲く6月に行ってきました。

  蔵と桐、それに喜多方ラーメンで知られています。滞在中はこれまで、山菜採りやキノコ狩りのような山歩きを楽しんできましたが、最近はもっぱらスケッチに出歩いています。このときは、町を取り囲む水田が東の丘陵にぶつかる辺りにある古い神社に出かけました。日影を選んで描いていたら、通りすがりのお婆さんが「立派に描いでくなんしょ」と声をかけてくれました。このときばかりは"会津"に来ているんだなあという思いでした。

  この絵はその折に描いた、かつて味噌醤油の醸造業で財を成したという店の裏道です。表通りにくらべると一昔前の町の雰囲気が残っているみたいですが、ちょっと歩いただけでも解体中の蔵や家屋があって、ゆっくりですが変わりつつある町のようです。

2013-11-01

カラマツ映える

油絵 F6   < 絵をクリックすると拡大 >

  次々に接近した台風が吹き寄せた南風でトロピカルな10月でした。とくに前半は30℃ぐらいになった日が幾日もありました。長期予報でもそう云っていたので、気象庁はホっとしているかもしれませんね。今日から11月。一転して寒くなるという予報でした。もし的中すれば暖かさに慣れた体には堪えるかもしれません。

  今回の絵は、昨年のちょうど今ごろ訪れた蓼科湖のスケッチ(水彩)を油絵にしたものです。7月に開いた二人展に出品しています。カラマツの黄葉が山を下っている時期で、観光客が去った後の山の静寂さと、陽の光りを反射し輝いていたカラマツ林が対照的でした。

  紅葉といえば、わが家の庭にあるベニカエデもそろそろ色づき始めます。二代目です。前のは15、6年生きましたがカミキリムシにやられてしまいました。今のは5年経ちます。もう4Mほどに伸びていて11月半ばには紅葉が始まります。散るまでのしばらくの間、目を楽しませてくれます。最後の1枚の葉が散るのは11月26日前後でしたが、このごろは12月にかかるようになっています。
 

2013-10-18

列車の旅

ボールペン+水彩 A4   <絵をクリックで拡大>

  豪華寝台列車、「ななつ星 in 九州」が動き始めたというニュースを見ました。製造費用約30億円、機関者と客車7両で定員30名とはいやはや超豪華。なんで今時? 乗るお客がいるの? と乗れない者の疑問が湧いてきます。さて、この客室乗務員のもてなしも超一流なんだろうか?アガサ・クリスティ張りのドラマが生まれるだろうか? とクエッションマークが続きます。

  先日、奈良から大阪に向かう快速電車に乗りました。列車が止まるたびここが○○駅か、ここがあの町かと社会科の勉強をしているようで楽しいものでした。昼過ぎで乗客はまばらでしたが、それでも大阪に近づくと乗り降りが多くなりました。近くに座った青年の、自由を生きているとでも云えるファッションが印象的でした。
 

2013-10-16

稲渕の棚田 (明日香村)

水彩・A4 <絵をクリックすると拡大>

  飛鳥寺から石舞台に行く途中、案内をしてくれたHさんが「棚田百選になっている棚田を見ましょう」と回り道をしてくれました。日本で一番古い大仏といわれる飛鳥大仏と対面した直後なので、頭の中はまだ1400年の昔に浸ったままです。車窓から見える景色はどことなく古の光と空気が流れているようでした。

  山の緩い斜面を下り始めるとすぐ棚田が目に入ってきました。黄色くなり始めた稲田は緑の中で輝いていました。農作業をする年寄りに混じって数人が道路脇で動いていました。撮影スポットを探しているようでした。「どちらからですか」と訊かれたので「神奈川からです」と答えると「楽しんでいってください」と、少し語尾が上がる関西弁でした。お陰で短い時間でしたが稲渕の棚田をスケッチすることが出来ました。


2013-09-23

”象の鼻” 界隈

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6月のはじめ、八尾の友人と一緒に、昨年11月に描いた「海岸通り裏」のスポットに立ち寄りスケッチをしました。アングルを少し右に振って、関内のオフィスビル街を斜めに見るように描きました。昨年12月に載せた「横浜税関」の水彩は、象の鼻”の先端からの街を眺めたものです。

”象の鼻”とは、横浜港が開港した150年ほど前に造られた、象の鼻の形をした波止場です。4年前にあった横浜開港150周年記念に合わせ綺麗に復元、整備されたところで、”象の鼻パーク”という公園の一部になっています。港に向かって左に赤レンガ倉庫が建つ新港埠頭、右前方には大型客船が停泊する大さん橋が見えますが、それらに比べると実に小さくて可愛らしい波止場です。

ここが横浜港発祥の地になるわけですが、海側は何もかも新しくなってしまい、私なんかにはまだしっくり来ていません。そんなわけでスケッチは、ついつい海を背にして古い建物の横浜税関とか県庁、それにブルーヨコハマに向ってしまいます。山下公園までつながる遊歩道は昔の臨港鉄道が走っていたところです。その高架の後ろに広がる関内の街は、みなとみらい地区の高層ビル群に比べると懐かしさ漂う風景です。いつか海沿いのピカピカの風景も描きたくなる時が来るのかもしれません、、
 

2013-08-22

橋の見える坂道

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  ブリスベン滞在中の (2013.5) もう一枚です。滞在が終わりに近づいているのに3日ばかり雨模様の天気でした。半ば諦めていたら2日前になって見事な秋晴れになりました。ブリスベン川を跨ぐ道橋を描こうと考えていたので、さっそく計画の実行です。1週間ほど前に偶然見つけた場所にバスで行くことにしました。この街のバスは、降車を知らせるボタンはあっても、次の停留所のアナウンスも表示もないので困ります。車窓の景色を注意深く見るしかありません。幸い、この日は街のランドマークになっている橋(ストーリー・ブリッジ)が目当てでしたからすぐ分かりましたが。

  建物の影から姿をのぞかせる橋の角度を、記憶のと照らしながら目的地を目指して歩きました。降りたバス停がピッタリだったため、苦労なくそれらしい風景を見つけることができました。というより、前見た風景より上等なスポットです。犬も歩けば、、かな。そこには歩道の段差があって足を伸ばせました。斜めから差し込む陽光と建物の影が坂道に落ち、鮮やかなコントラストで、秋が深まっているのだなあという感じでした。時々、通りがかりの人が覗きながら声をかけてくれました。
 

2013-07-25

休漁日の腰越漁港

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  油絵に切り替えてちょうど2年経ちました。野外ではもっぱらスケッチブックに描いてきましたが、イーゼルを現場に持ちだしキャンバスに直接描くのは今度が初めてです。3、4時間である程度描き上げる自信がなかったし、道具を携行するのが大変だという気持ちがあったからです。八尾から来てくれた友人に背中を押され、一緒に野外スケッチに出かけることになりました。

  江ノ島の東隣は腰越で小さな漁港があります。車を漁協の駐車場に止め、江ノ島が見える写生スポットを探しました。予想通り、すでにスケッチブックを広げた人たちがちらほら。その近くにいい場所が見つかりました。梅雨に入っていましたが雨の心配はなく、雲間に明かりも見えてまずまずの日和でした。

  スケッチがまとまったころ昼になったので、道路の向かい側にある釣り船屋で腹ごしらえ。2階の食堂は若い女性達の話し声で賑やかでした。目当ては生シラスかなと思いながらわれわれも注文すると、あいにく今日は休漁日で、茹でたものしかありませんでした、、 道理でスロープに
漁船が整然と並んでいたわけです。

2013-06-25

ジュラシックパーク

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  先月、オーストラリアに行って来ました。ブリスベンの北70Kmほどのところに変わった山があります。広大な丘陵地に何本かの巨大なタケノコが頭をもたげたような形です。観光ガイドには「形が似ていることからキャプテン・クックがグラス・ハウス・マウンテンズと名付けた」となっています。なるほど、遠くから見れば温室に見えなくはない形をしています。

  その山群の北にある小高い山稜に建つレストランから眺めました。一面に広がる分厚い緑のなかに薄紫色のグラス・ハウス・マウンテンズが浮かんでいました。200年前に入って来た開拓者たちには新世界に映ったと思いますが、わたしの頭には映画のジュラシックパークが浮かんで、なかなか愉快な気分になりました。隅のテーブルで絵を描いている人がいました。見せてもらうと、青い空気に満ちた神話の世界に浮かぶ山になっていました。
  

2013-05-30

サン・サルヴァトーレ山

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   前回と同じスイス南部の、かつて小農家だったところに泊まったとき描いたスケッチからの油絵です。3階建てなのですが屋根裏を部屋にした4階に泊めてもらいました。そんなわけで天井が傾斜していて部屋の半分ほどは屈まないと頭をぶつけてしまいます。梁に気をつけながら南側に開いた明かり取りの窓辺に寄ると、サン・サルヴァトーレの山(州都であるルガーノの街と湖が見下ろせる小高い山)までよく見渡せました。たぶんこの家で一番見晴らしのいい部屋のようで、主のちょっとした心遣いが分かって嬉しくなりました。
  

2013-04-29

窓からの景色

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  朝、目覚めた時にいつもと違うところにいる自分に気づくこと、旅行に出たときにしばしば持つ感覚です。急いでいないなら 旅情を楽しめる一時で 好きです。「さて、どんな一日になるのだろうか」、と背伸びをしながら窓の外を眺めたくなります。

  この絵は10年ほど前のスケッチブックにあった一枚を最近油絵にしたものです。ずいぶん前ですが、スイス南部のイタリア語を話す地方で泊まったときのものです。200年近く経つ古い家で、しかも農家だったとかで、確かに1階の裏側には家畜を飼っていたという薄暗い部屋が残っていたのを憶えています。小さな窓からの景色は、大部分が周りの家々の錆びたような色の屋根でしたが、古いながら統一があって、落ち着いた雰囲気でした。窓のガラスも古いらしく、適当に景色が歪んで見えました。

  もうゴールデンウィーク。こういう気分をまた味わいたくなる季節になって来ました。
 

2013-04-02

時の厚み

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  今度の一枚はメムノンの巨像です。何年か前ですが、王家の谷からルクソールに戻る途中に寄りました。ナイル川の西岸、川から滲みだした水が作る 緑のベルトが果てる辺りにありました。後ろは砂漠へと続く山です。エジプトでは数千年も経つ建造物ばかりを見て回ったのに、経過した時間の長さがなかなかピント来ませんでした。しかし、傷みが激しいこのアメンホテプ3世の像を目にした時は、少し肌で感じたような気になりました。

  まともに残っているのは僅か、全体にひびが入って顔もわかりません。それなのに、まだ生きていて、何か話しかけてくるように見えました。後方に見えるのは、昔、王家の墓を盗掘するのを仕事にしていた人々の末裔が住んでいる村だと、ガイドが話していました。村の人には会っていませんが、たぶんすごく生活力のある人々だろうと、土産物を売る人たちの顔と交錯して浮かんできました。乾燥した空気、雲ひとつない青空、岩を砂に変えてしまうような強烈な日差し。その中で逞しくつながれてきた人々の営みをこの巨像が象徴しているようでした。
  

2013-02-28

初めての、ロマネスコ


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  2月最後の日になってやっと春らしく暖かくなりました。待ちに待ったということですが、今度はスギ花粉が気になって、簡単に外へ飛び出してスケッチということになりません。恨めしい季節でもあります。

  さて、ロマネスコという名前の野菜、知っていますか? 絵の右端にあるのがそれで、今度はじめて見ました。ブロッコリーの仲間かと思ったらカリフラワーに近いそうです。小さな花蕾が螺旋状に並んで三角の塊を作り、それらがさらに螺旋を描きながら、一回り大きい相似形の塊になっていきます。じつに美しい幾何学模様で、フラクタル図形というそうです。野菜といえば形は不規則だと思っていましたが、なんでも例外はあるものです。それにしても、こんなに幾何学的な形だと、どこか悪魔的に見えてしまいます。さて味は? まだ食べたことはありません。形に似ず、案外平凡な味なのかもしれません。当のロマネスコにとったらどうでもよいことでしょうが。
 

2013-01-29

シクラメンの季節

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  家から見える大山や丹沢山系が1月14日の雪から白くなっています。そのせいもあって朝日があたる午前中は山の重なりがよく分かり、手前の大山から奥の丹沢山へと、山塊の深さがよく分かります。さらに左に目を転ずると、グラニュー糖を被ったように真っ白に輝く富士山。長年見ていても飽きません。四季折々の自然の演出を嬉しく思います。

  安倍政権の呼び声が高くなり始めた頃から、円安、株高が進みだし、その傾向がいまだに続いているようです。最近読み終わった本、スタンフォード大学の有名講座(心理学)「スタンフォードの自分をかえる講座」的に解釈すると、「国の借金に目をつむり、どんどん金を使って景気を良くしようという掛け声に、なにか良いことが起こりそうだと感じ取った人々の脳の報酬システムがオンになって、溢れだしたドーパミンが、円を売れ、株を買えと囁いている」のかもしれません。さて今年はどんな1年になるでしょうか。
  

2013-01-01

海岸通り裏

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  2013年がスタートです。近ごろは正月になれば、"ま~た新しい年が始まったのか" と少し後ろ向きな思いを持ってしまいます。どうしてか? 答えは簡単で、年をとったからでしょう。その答えに何とか抵抗しようと、あがくもう一人の自分がいます。10年後の姿を想像して、"いや、(今なら)まだまだやれるのだ" と自己暗示をかけるのです。それで少しでも前向きになれたら儲けものです。でも、それも健康であってのこと。適度に忙しくしながら暮らしたいものです。

  今日の1枚は横浜、大さん橋近くにある"象の鼻"波止場の一風景です。開港150年を迎えた数年前までに辺りはピカピカに一新されました。新港埠頭の赤レンガ倉庫や象の鼻パークなどです。そういう所に、昭和のかおりが残っている一角がありました。横浜は戦後10年ほど米軍に接収されましたが、それほど古くはないにしても、周囲がこざっぱり新しくなった分、浮かび上がったみたいでした。それにしても、デニムのオーバーオールを着た人がビールを片手に、日差しの中で海を眺める光景は、どこかアメリカっぽくて横浜に合うようです。