プロフィール

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名古屋生まれの名古屋育ち。絵との付き合いは、油絵を始めた高校時代。仙台にいた頃は友人と木版画に熱中。社会人になって遠ざかったものの、退職を期に再スタート。水彩、油絵と、もと来た道を楽しみながら続けています。

2011-09-21

大高森への道


  半年経っていたが、津波に襲われた土地を自分の目で確かめてみたいと思っていた。仙台から北東に約30Km、松島の少し先にある、松島湾に浮かぶ島々と外洋を一望できる海抜100m少々の大高森に出かけてみた。最近では8年前に訪れたことがある。最寄の駅は野蒜(のびる)だが、そこまでの仙石線(仙台-石巻)は全面復旧していないため、松島海岸駅から代行バスに乗った。一つ手前の東名(とうな)駅を過ぎると津波にさらわれた家の跡や、1階部分が壊され傾いた家が突然目に入ってきた。一駅で被害の風景ががらりと変わる。野蒜で下車すると、壊されうち捨てられたような駅舎や店舗の無残な姿があった。「またあの美しい野蒜をとりもどそう!!」子供が書いたと思われる幟が駅舎に貼ってあって、ここに住んでいた人たちの思いが胸に迫ってくる。不思議なことに鉄道の復旧工事は何も始まっていない。架線は垂れ下がったままで、捻じ曲がった鉄柱が夏草に埋まっていた。JRは廃線は考えていないと言っているが、復旧はいつになるのだろうか。

  海岸線に沿って大高森まで5Kmほど歩いた。新しい電柱が立てられている最中だった。傷つきながらも残った松並木の道路を ダンプカーが土煙を上げ ひっきりなしに瓦礫を集積場に運んでいた。海岸に出ると2、3mに積んだ土盛を砕石で覆った(仮?)防潮堤の工事が進んでいた。1時間半で大高森に着いた。西側の海に点在する松島は昔と変わらないように見えたが、北にはいまだに冠水している土地と廃墟になった町が広がっていた。〔スケッチは大高森から北(野蒜方向)を見る〕
 

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