諏訪に足をのばした帰り、電車が茅野を過ぎた辺りだったか、右の車窓から月が見えるのに気がついた。12日の満月まで間があるので、左が少し欠けた月だった。列車がカーブするたびに前に出たり後ろに引っ込んだりした。近くの丘に隠れたり遠くの山の上に登ったりもして、退屈な車中の時間を紛らわせてくれた。17時半を過ぎていたが空は明るさを残していた。薄っすらと白っぽい月だったが、澄んで乾いた空気のせいかよく見えた。南アルプスの山稜は赤紫に沈みはじめ、覆い被さってくるような威圧感を持ちながらゆっくりと後ろに動いていく。しばらくすると、前方にほんのり夕焼け色に染まった富士山が登場して雰囲気を盛り上げてくれた。ドラマでいうと、そろそろクライマックスといった感じだ。小淵沢で列車は止まった。さっきの光景をスチル写真で見れるかと期待したが、残念ながら車窓からは近くの建物ばかりが見え、さっきまでの車窓ドラマは小休止といったところだった。(スケッチは時間を少し進めて満月にしました)
1 件のコメント:
ときどき、すばらしいタッチの絵画を見て、感動しています。
素人ですが、それ故か、情緒や情景がすんなりと入ってくるような気がします。
これからも、この絵のように、その場にいた気持ちになるような、チャンスを与えて下さい。
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