<(木版画風 習作) デジタル 2023-01-23 >
東京であった画家フェリックス・ヴァロットンの木版画を見てきました。白黒ではっきりした画面でした。刷りには ”ぼかし” がなくて、一様の黒で表現しているので力強さを感じました。黒と白のダイナミックな配置では動きも伝わります。学生のころやっていた版画を思い出せて、いい時間になりました。
前からデジタルで版画のように表現できないかと思っていたので、先月のスケッチを木版画風にしてみたくなりました。ただ使っている描画ソフト、Procreate には筆の種類はあっても、彫刻刀がない、どうなることやら。ヴァロットンの木版画は気にしないで、自由に楽しんで描くつもり。まずは最初の習作です。
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白と黒の作り出す世界は心象をより鮮明に訴える。この心象風景に最も近い絵としてゴッホの初期の油絵「ジャガイモを食べる人々」を思い出した。
小さなランプの下で、不安げな5人家族がひっそりジャガイモの夕食をとっている雰囲気。ゴッホは持てる技法を駆使し自信を持ってこの絵を完成させた。しかし誰にも受け入れられなかった。弟テオに宛てた手紙に「この絵の意図は、我々文明化した人間たちの生き方とはまるで違う生き方を考えさせることにある」と書かれていた。今から130年以上前のこと。
21世紀になった今、「他国領土への侵略戦争などあり得ない」と考えていた我々の前にとんでもない侵略者が現れ、兵士だけでなく多くの市民が犠牲になっている。ゴッホの手紙の「文明化した人間達」を「日本人」に置き換えてこの版画を見てみよう。
この版画を見ながらある精神科医が残した警鐘を読み返してみた。
「戦争を経験していない人間が指導層の多くを占めるようになると、戦争に対する心理的抵抗が低くかつ戦争を始める権限だけは持っている指導層が生まれます。民衆も、他国との些細な対立に簡単に先導されるようになり、ある日、人は戦争に直面することになる。」 (M)
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