プロフィール

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名古屋生まれの名古屋育ち。絵との付き合いは、油絵を始めた高校時代。仙台にいた頃は友人と木版画に熱中。社会人になって遠ざかったものの、退職を期に再スタート。水彩、油絵と、もと来た道を楽しみながら続けています。

2011-10-18

喜びのとき


  喜多方を訪れて感じるのは、風景にそれぞれの季節の顔が見えること。平地のほとんどで稲作が行われているので田圃の様子が季節の中心になっていると思う。空気がまだひんやりとして、晴れれば遠くに残雪をいただいた山が望める田植え時期も好きだが、何といっても稲刈りの時期が最高だ。街の西に南北にのびる丘陵があって、それを背に東を見ると雄国の峰や磐梯山に抱かれるように喜多方盆地(北会津盆地)の田圃が広がる。

  10月はじめ、雨が上がるのを見計らい出かけてみた。西風が強かったが、田圃のところどこで稲刈りの作業が行われていた。半分ほどの田圃は既に刈り取りが終わっていて、真新しい稲株に陽が当たり風景全体が明るく輝いて見えた。夏の田圃とは違って食欲がそそられるような暖かな色だ。軽トラックがあぜ道に止まっていて、コンバインが効率よく稲を刈っていく。遠くから軽く会釈を交わしただけで表情は分からなかったが、一年で一番楽しい時期なんだろうなと眺めた。

  福島の刈り入れを迎えた稲作農家は、自分たちが作った米にどれくらいの放射性物質が含まれているのか気を揉んでいたと思う。政府がサンプリング検査の結果を踏まえ出荷を認めたことで、まずは胸をなで下ろしたことだろう。しかし、どこかに不安が陰のように残り続ける。不安が現実にならなければと願う一方、不安を生み出した原発を続ける理由はないように思う。
 

1 件のコメント:

働き者 さんのコメント...

まさしく、一番楽しい「収穫のとき」、今年は一抹の不安を抱えて、でしたが、検査も全部「安全」と出て、ひと安心。

生産者は、反対の結果が出ても、それを自食するしかないのですから、ひどい話です。

これからは、食品の中身「味わい、や、おいしさ」で、風評被害に勝つしかありません。

これからも、「サツマイモ」や「コンニャク」などの収穫が、続きます。

このすばらしいスケッチ、被災地への思いやりと、感性豊かな表現「真新しい稲株に陽が当たり風景全体が明るく輝いて見え・・」を、思い出しながら、田畑に向き合います。